礼拝説教「十字架での出来事」2021年05月09日

しばらく前に「パッション」という映画を見た。キリストの十字架の受難を描いたもので、血みどろのキリストが登場する。福音書のイエス・キリストの十字架の記録は血みどろではなくてむしろ簡潔に淡々と記されていることに気がつく。

今日の説教題は「十字架での出来事」というものであるが、十字架の上で叫ばれたことばを通じて、十字架で何がなされたかを知ることが出来ると思う。

マタイによる福音書では、主イエスの十字架上のことばが一つだけ記されている。

そして三時ごろに、イエスは大声で叫んで、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と言われた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。マタイ 27 章46 節

キリスト信仰に反対する人が「これは敗北者の叫びだ」と表現したが、どうであろうか。罪なき救い主メシアが、わたしたちの罪のために神に見捨てられたという出来事が十字架でなされたことである。「敗北の死」ではなくて「あがないの死」」であるというのが聖書のメッセージである。この叫びは詩篇の 22 篇からの引用であり、22 篇の最後は主への信頼のことばで終わっている。この詩篇の約束が主イエスの叫びのことばであり、「わが神、わが神」」という信頼の叫びとなっているのである。

マタイは十字架上の叫びの後に次のことが起こったことを記して、十字架が「敗北の死」ではないことを明らかにしている。一つは神殿の中の至聖所と聖所との隔ての幕が真っ二つに裂けたこと。もう一つは、多くの聖徒たちの復活である。これはマタイだけに出てくる。キリストにあっての復活の出来事の始まりであったのではないか。